金沢21世紀美術館 外観 撮影:石川幸史 提供:金沢21世紀美術館
石川・金沢21世紀美術館の2026年度の展覧会スケジュールが発表された。
2027年5月〜2028年3月にかけて、空調や電気などの設備更新、修繕工事のため、長期休館する金沢21世紀美術館。休館中は市内中心部を舞台に「金沢まちなか芸術祭(仮)」を展開する予定で、旧日銀金沢支店のほか、美術館のある広坂エリアや石川県立美術館、国立工芸館のある本多の森エリア、市庁舎などを使って会場を設定し、コレクションの展示やパフォーマンスなどのプログラムを行う計画だ。
2026年は長期休館と「金沢まちなか芸術祭(仮)」の準備年にあたる。そんな本年度はどんな展覧会が予定されているのか。「路上、お邪魔ですか?」「今日から明日へ(仮)」というふたつの企画展をはじめ、注目のラインアップを見ていこう。
若手作家を中心に個展形式で紹介する展覧会のシリーズ「アペルト」。今回は、日常生活や社会、自然に通底する根源的な力に関心を寄せ、現場での観察や介入による作用やベクトル、そこに流れる固有の時間を、彫刻やインスタレーションとして可視化する作家、野村由香を取り上げる。展覧会では、金沢市を流れる犀川で採取される「砂金」に着目し、新作を発表する。

「路上は誰のものか?」をキーワードとする展覧会。かつて日本には、公界と呼ばれる一定の制度や権力の及ばない自由な空間が存在しており、寺社の門前や宿場町に見られた領域は、移動する人々や芸能を受け入れ、文化や交流を育む装置でもあった。いっぽうで、路上はそうした自由や解放の象徴だけでなく、排除の論理による居心地の悪さや不安定さも抱えている。本展では、1986年に赤瀬川原平や藤森照信らにより結成された「路上観察学会」から40年を経て、現代美術から歴史的資料、テレビゲームや銭湯、大道芸までを紹介し、路上の公共性を探る。批評とユーモアの喧騒に溢れた、路上の芸術に触れる機会となる。

「歩く」あるいは「移動する」という行為を切り口に、美術館コレクションを紹介する展覧会。展示作品には、「一歩踏み出す」という行為を起点に、外の世界を観察すること、思考や記憶の内側へと分け入ること、歩く人が位置する場所で生じる摩擦や、場所との関係性のなかで交渉する姿など、様々な「歩み」が現れる。歩く、とどまる、というシンプルな行為から多様な態度へとつながる実践を通して、人と空間、そして社会との関係性を浮かび上がらせることを試みる。

能登半島地震から2年が経ったいまもなお、被災地は復興の途上にある。本展は、本年度の開催を見送った「奥能登国際芸術祭」に代わって行われている「奥能登国際芸術祭being」との連動企画。同芸術祭出品作家で美術館の所蔵作家でもある、牛嶋均とさわひらきを取り上げる。震災で甚大な被害を受けた両者の芸術祭出品作は、現在も公開の目処が立っていない。展覧会は、作品を通して能登と関わり続けるふたりが、被災地のいまと向き合い、自身の作品の再生とともに能登の未来を考える内容になるという。


インディペンデントな出版社であり、同社が発行する雑誌、そして印刷製本所の名前でもある「NEUTRAL COLORS」。本展では、それらが有機的につながり、個人的な体験や創作、記憶をリソグラフなどのハンドメイドな印刷手法を交えながら誌面で発信し続けるNEUTRAL COLORSの取り組みそのものに光を当てる。

長期休館を控えた美術館の現在地を見つめ直し、作品を未来へ継承することの意味を問い直す展覧会。展覧会タイトルの「今日」は現代美術における「現代」=「いま」と、美術館開館からの約20年を指し、「明日」は休館後から次の20年以降を想定している。本展では、20年先まで作品をどう残すかという現実的な課題に向き合い、修復や継承方法の検討を要する所蔵作品を中心に、ミクスト・メディアやメディア・アート、インスタレーション作品の保存にまつわる課題を具体的に提示し、作品とその修復や継承のプロセスを一体として紹介。美術館のこれからの役割と姿勢を明らかにする。
