客室の様子
金沢駅西口に位置するハイアット セントリック 金沢は、街とアートをつなぐフルサービスホテル。館内には100点を超えるアート作品が設置され、その多くは金沢にゆかりのある作家によるアートピースが揃う。ロビー、客室、レストランに至るまで、空間全体がギャラリーのように設計されており、宿泊そのものが金沢の文化と出会う体験となるだろう。
金沢駅に降り立つと、まず目に入るのは東口にそびえる鼓門。街のシンボルとして、旅人が思わず足を止める場所だ。その反対側、西口に建つのがハイアット セントリック 金沢。鼓門が「金沢への入口」ならば、ここは街とじっくり出会うためのもうひとつの扉となるだろう。多くは、金沢で暮らし、学んだ作家によるもの。作品に目を向けるたび、街の文化や風景、人々の暮らしが見えてくる。

エントランスでまず迎えてくれるのは「笛」。金沢駅東口の鼓門が響かせる鼓の音に応えるように、エントランスには笛をテーマにしたアートがしつらえられている。館内に足を踏み入れると、落ち着いた静けさが広がり、ゆったりとした時間が流れる。

最初に出迎えてくれるのは、金沢の街で使われていた鉄の道具を集めて叩き直し、金箔を施して形作った松の彫刻。その背景には、犀川や浅野川、兼六園へと流れ込む用水の流れを思わせる鮮やかな青の線が描かれ、街の風景をそのまま切り取ったような空間になっている。

さらに進むと、衣桁にかけられた着物には金沢の古地図が刷り込まれ、錆と植物染料で描かれた雲唐草模様が重ねられている。左肩部分には、加賀梅鉢の紋があしらわれ、金沢のはじまりを築いた前田家の記憶をそっと呼び起こす。

ハイアット セントリック 金沢は、アートがただ展示されているわけではない。一つひとつの作品に物語が込められており、館内を歩くことはまるで小さな物語集を読み進めるような体験になる。

客室階のエレベーターロビーの壁には、漆をこすために使われ、通常なら捨てられてしまう和紙が乾かされて並ぶ。普段は表に出ることのない制作過程が、ここでは主役になっている。フロアごとに異なる色合いがあしらわれており、歩くたびに雰囲気の変化を楽しめる。

加賀友禅の色見本をモチーフにした水玉模様が、エレベーターの壁一面に広がる。まるで雨に包まれているようで、雨の多い金沢さえどこか楽しげに見えてくる。

客室フロアには九谷焼のルームサインが並び、ドアを開ける前から遊び心を感じる。ベッドの上を彩るのは、鮮やかな赤や青を基調とした壁面アート。金沢の街路やマンホールのかたちを和紙で写し取った上に、金箔を重ねたアートが広がる。過去と現在が重なる金沢の街の姿をそのまま切り取ったようで、部屋に入った瞬間から旅の気持ちが高まる。


館内のあちこちに、金沢の工芸や風景、文学のかけらが散りばめられている。ひとつずつ目を留めていくと、街の歴史や文化が次々と浮かび上がり、滞在の時間が金沢の歴史を感じる時間となるだろう。


ハイアット セントリック 金沢に並んで建つのが、ハイアット ハウス 金沢。世界的なデザイン事務所ゲンスラー アンド アソシエイツが手がけた空間は、金沢の町家や職人技から着想を得ており、地域の暮らしや自然との調和が随所に表れている。

全92室の客室のうち78室はキッチン付きのアパートメントスタイルなのも特徴のひとつ。快適なリビングルームや広々としたベッドルームを備え、愛犬と一緒に泊まれるドッグフレンドリールームも用意。

ロビーやテラスはコワーキングとしても使え、バーではビールやワインを片手に他の宿泊者のゲストと交流もできる。さらに、地元作家の作品展示やワークショップのスペースも開放され、旅人と地域をつなぐコミュニティ拠点としても使用可能だ。観光だけでなく、長く滞在して金沢の暮らしを味わいたい人にもぴったり。

館内を歩くと、金沢の歴史や文学、工芸、現代アートに少しずつ出会える場所、ハイアット セントリック 金沢。作品を眺めるたびに、茶屋街や犀川、兼六園など、次に訪れたくなる場所が思い浮かぶだろう。
チェックインの瞬間から、小さな展覧会を巡るような時間が始まり、館内のアートに目を留めるたびに金沢の文化や景色が浮かび上がる。滞在そのものが旅になる、そんな滞在となるはずだ。