公開日:2026年2月4日

京都・北野天満宮で「KYOTO NIPPON FESTIVAL 2026」が開幕。1200本のクリスタルと梅が共演、蜷川実花初のイマーシブ公演も

蜷川実花 with EiMが手がける「KYOTO NIPPON FESTIVAL」が、2月1日から5月24日まで開催中。イマーシブシアター《花宵の大茶会》は3月20日から5月24日まで開催予定

光と花の庭

10周年を迎える「KYOTO NIPPON FESTIVAL」

京都の北野天満宮を舞台に、写真家・映画監督の蜷川実花とクリエイティブチームEiMが手がける「KYOTO NIPPON FESTIVAL 2026 -時をこえ、華ひらく庭-」が開催されている。会期は2月1日〜5月24日。

「KYOTO NIPPON FESTIVAL」は2016年に誕生し、日本の「美」と「文化」を京都から世界に発信してきたフェスティバル。由緒ある北野天満宮にて、毎年多彩な文化プログラムを実施してきた。10周年となる今回は、蜷川実花と宮田裕章をはじめとする各分野のスペシャリストが集うクリエイティブチームEiMが参加し、同神社では初めてとなるイマーシブ公演にも挑む。

光と花の庭

会場では大規模なクリスタルインスタレーション《光と花の庭》、生と死を主題とした《残照》が展開され、さらにダンスカンパニーDAZZLEとタッグを組んだイマーシブ公演《花宵の大茶会》が3月に公開される。

北野天満宮の梅苑

自然光が織りなすクリスタルインスタレーション

梅苑に現れたのは、約1200本のクリスタルを用いた大規模なインスタレーション《光と花の庭》。すべて手作業で制作され、蜷川が一本一本の配置までデザインしたという。屋外の自然光のもとで展開するこの作品は、時間とともに劇的に表情を変える。空の色、光の角度、そして梅の開花状況が作品の一部となり、「季節のうつろい」を体感させる仕掛けだ。

光と花の庭

花や植物の生命力と儚さを表現し続けてきた蜷川にとって、この作品は新たな到達点と言えるだろう。宮田によれば、「Expo2025 大阪・関西万博」で公開されたインスタレーションとの共通点を持ちながらも、今回は蜷川の感性がより色濃く反映されており、梅が芽吹く前の静謐な美しさから満開の華やかさ、そして散り際の儚さまで、ひとつの空間で「命の輝き」を体験できるという。

日が暮れた後の鑑賞もおすすめだ。光を反射するクリスタルが星空のように煌めき、昼間とは異なる幻想的な世界が広がる。梅苑内の茶店では、お茶菓子をいただきながら作品を眺めることもできる。

光と花の庭

生と死を見つめる茶室

梅苑から少し歩いたところに展示されている《残照》は、枯れた花と咲き誇る花を対比させた茶室でのインスタレーション。咲き誇りながら枯れて落ちていく光景は、生と死、時間の経過を静かに語りかける。

残照

蜷川によれば、本作は枯れることや朽ちることを否定的にとらえるのではなく、花も人も等しく辿る道程として、そこに宿る圧倒的な美しさを提示している。

残照
残照

蜷川実花初のイマーシブ公演

さらに、3月20日から始まるイマーシブ公演《花宵の大茶会》は、世界的に活躍するダンスカンパニーDAZZLEとのコラボレーション。観客席と舞台の境界をなくし、鑑賞者が物語の一部となる60分間の体験型公演だ。30年以上のキャリアを持つ蜷川にとって、ステージパフォーマンス演出は初の試みとなる。

セリフのないノンバーバル形式で展開される物語は、北野天満宮ゆかりの人物たちが時を超えて集う、伝説の茶会の"幻の二日目"。鑑賞者は登場人物を象徴する様々な部屋を巡りながら、"観る側"から"物語の一部"へと変容していく没入体験を味わうことになる。

灰咲光那(編集部)

灰咲光那(編集部)

はいさき・ありな 「Tokyo Art Beat」編集部。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。研究分野はアートベース・リサーチ、パフォーマティブ社会学、映像社会学。