公開日:2026年3月23日

国立歴史民俗博物館、第5室「近代」が33年ぶりに全面リニューアル。ジェンダーや移動など“現代的視点”を導入

アイヌ、琉球・沖縄、被差別部落の人々の歴史や文化、経験を伝える展示も

会場風景

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民衆・生活史の視点から、近代社会の変容と人々の暮らしを立体的に示す

千葉・佐倉にある国立歴史民俗博物館は、総合展示室第5室「近代」の展示を約30年ぶりに全面リニューアル。3月17日から公開されている。

1981年に設立、83年に博物館として開館した同館は、日本の歴史と文化を語る文化財・歴史資料を約28万点収蔵し、実物資料のほか精密な複製品や復元模型なども展示している。歴史系博物館を擁する唯一の大学共同利用機関として、国内外の研究者に開かれた共同利用・共同研究拠点としての役割も担う。

常設の総合展示室は全6室あり、日本の歴史・文化をテーマごとに民衆の視点から紹介している。第5室「近代」は1993年から95年にかけて段階的に開室した。開室から約30年のあいだに東アジアの歴史研究や植民地統治研究が大きく進展したことなどを受け、「戦争・戦時社会」、「人々の移動」といったテーマへの取り組みが必要となり、このたびの全面的な展示見直しに至った。

新しくなった第5室「近代」の展示は、世界における近代日本社会の歴史を「<国民>の誕生」「近代化する人びとのくらしと仕事」「<帝国>日本の社会と人びと」という3つのテーマでとらえた構成。加えて「3つの視点」として、「アイヌにとっての近代」「琉球・沖縄からみた近代」「『水平』を目指して」の各コーナーが新設されている。さらに第5室のリニューアルに伴い、第6室「現代」の展示冒頭「戦争と平和」の一部も刷新された。

会場風景

同館の研究部歴史研究系教授・大串潤児は、同館の展示の特徴について「民衆が向き合った生活史上の諸問題を歴史として表すことにある」と述べ、概説・通史ではなく問題やテーマの歴史に基づいた構成であることを強調した。リニューアルについては、「基本的なテーマである生活史、生活の周りに広がる環境史、さらに社会を広くアジア、海外に開いて考える国際交流の視点を基礎にしながら、多様性の視点を重視したい、また現代的視点を踏まえながら歴史に向かい合うことはどのような営みかを考えていきたい、ということが基本的な考え方」と説明。生活史・環境史・国際交流を基調に、多様性やジェンダー、移動といった視点を導入し、近代社会の構造変容と人々の生活をより立体的に示す展示構成を目指したという。

大串潤児(国立歴史民俗博物館 研究部歴史研究系 教授)

ここからは、リニューアルされたポイントを中心に、新しくなった第5室の見どころを紹介する。

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