公開日:2025年11月11日

「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」展が国立西洋美術館で2026年夏開催。レンブラント・ハウス美術館との共同企画

国立西洋美術館とレンブラント・ハウス美術館が誇るコレクションを中心に個人蔵も加えた約130点を一挙展示。会期は2026年7月7日〜9月23日

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 書斎の学者(またはファウスト) 1652 エッチング、ドライポイント、ビュラン 国立西洋美術館

世界有数のコレクションが結集

レンブラントのエッチングの全貌と後世への影響を紹介する大規模展覧会「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」国立西洋美術館で開催される。会期は2026年7月7日から9月23日まで。

本展はレンブラントのエッチングを重点的な収集の対象としている国立西洋美術館と、レンブラントが1639年から1658年にかけて実際に暮らした家を利用した世界で唯一のレンブラント専門美術館であるレンブラント・ハウス美術館(オランダ、アムステルダム)の協力により実現。両館のコレクションを組み合わせ、国内の美術館、大学図書館および海外の個人コレクターから拝借した作品や書籍も加えて、レンブラントのエッチングと、それが同時代および続く時代に与えた影響を検証する。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 驚いた表情の自画像 1630 エッチング、ドライポイント レンブラント・ハウス美術館

3つの章で辿る技法の革新と継承

展覧会は3章で構成され、第1章ではレンブラント自身のエッチング作品に焦点を当てる。

17世紀初頭、エッチングは歴史的転換期を迎えており、それまでエングレーヴィングの代替技法に過ぎなかった同手法に、オランダの作家たちが独自の表現可能性を見出し始めた。レンブラントはこの動きの牽引者として、「肖像と頭部習作」「無宿者と市井の人々」「キリスト教主題」「スケッチ」「風景」という多彩な主題において実験的な試みを重ね、エッチング表現の地平を拡げた。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン エジプトへの逃避 1645 エッチング、ドライポイント レンブラント・ハウス美術館
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン イタリア風景の中の聖ヒエロニムス 1653 エッチング、ドライポイント/和紙 レンブラント・ハウス美術館

第2章では17〜18世紀における受容と展開を辿る。レンブラントの版画は制作当時から人気を集めたものの、影響は弟子のフェルディナンド・ボルら少数に留まっていた。いっぽうで、17世紀にはイタリアのカスティリオーネやデッラ・ベッラなど、創造的な感化を受けた作品も生まれた。さらに18世紀においてドイツを中心に関心が急激に高まり、美術愛好家による収集が本格化した。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 窓辺でエッチングを制作する自画像 1648 エッチング、ドライポイント レンブラント・ハウス美術館
ゲオルク・フリードリヒ・シュミット 窓辺で素描する自画像 1758 エッチング、ドライポイント レンブラント・ハウス美術館

第3章ではゴヤによるレンブラント研究とその自作への反映、19世紀フランスを中心としたエッチング復興運動におけるレンブラント人気の高まりを紹介。また、フェリックス・ビュオやメアリー・カサット、アンリ・マティスらによる、レンブラントから直接的・間接的な影響を受けた作品群も展示される予定だ。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 病人たちを癒すキリスト 1649頃 エッチング、ドライポイント、ビュラン/和紙 国立西洋美術館

国立西洋美術館が所蔵する《病人たちを癒すキリスト》や《三本の木》などの代表作と、レンブラント・ハウス美術館の世界有数のコレクションが集結する本展。版画技法に加え、文学や批評の視点からもレンブラントの幅広い影響力を探る、注目の展覧会となりそうだ。

ジョヴァンニ・ベネデット・カスティリオーネ 箱舟に入る動物たち 1650-55 エッチング 国立西洋美術館

版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト

会場:国立西洋美術館 企画展示室
会期:2026年7月7日〜9月23日
主催:国立西洋美術館、レンブラント・ハウス美術館

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