公開日:2026年3月19日

リナ・バネルジー 「“You made me leave home...」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)が開幕。ファウンド・オブジェクトが問いかける、植民地主義のレガシー

会期は3月19日〜9月13日

リナ・バネルジー 「“You made me leave home...」 エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026) Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

ファウンド・オブジェクトと「熱帯地域」の素材

表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京にて、南アジア系ディアスポラのアーティスト、リナ・バネルジーの個展「“You made me leave home...」が開催される。会期は3月19日から9月13日まで。

本展はフォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションを東京、ミュンヘン、ヴェネチア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンにて展示する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環。同プログラムの10周年およびエスパス ルイ・ヴィトンの設立20周年というふたつの節目を記念する展覧会でもある。

リナ・バネルジーは1963年にインドのコルカタ(旧カルカッタ)に生まれ、英国のロンドン、マンチェスターでの生活を経て7歳で渡米、現在はニューヨークを拠点に活動する。2000年のホイットニー・ビエンナーレへの選出を機に国際的な注目を集め、以来30年近くにわたり米国、欧州、アジアで精力的に作品を発表してきた。

リナ・バネルジー エスパス ルイ・ヴィトン東京に Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

その作品の特徴は、綿糸、ダチョウの卵、羽根、ガラスのシャンデリア、ファウンド・オブジェクトなど、多種多様な素材の組み合わせにある。バネルジー自身が「熱帯地域」と呼ぶグローバル・サウス産の素材——ココナッツパウダーをはじめとする日常的な家庭用品から、テキスタイルに至るまで——を積極的に取り入れ、植民地主義の文化的・物質的な残滓を作品に刻み込む。絵画においては、歴史的なインドの細密画や中国の絹絵、アステカのドローイングなどからも着想を得ており、複数の美術的伝統が作品のなかで交錯する。

エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2026) Courtesy of the artist and Perrotin Photo credits: Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton

社会的な分断や不正義への批評的まなざしを持ちながら、つねにユーモアを湛えているのが、バネルジーの作品の特徴だ。各作品に付された長く詩的な物語のようなタイトルもまた、作品を構成する不可欠な要素となっている。

会場風景 撮影:筆者
会場風景 撮影:筆者