公開日:2025年10月20日

ルイナール×ジュリアン・シャリエールによる「conversations with nature 2025」展が11月開催。アートウィーク東京で失われた海の記憶と出会う

ルイナールの地下クレイエール(白亜質のセラー)と古代の海の記憶、現代のサンゴ礁を響き合わせるインスタレーションと写真作品を発表。会期は11月5日から11月9日

© Alice Jacquemin

「自然との対話」から生まれる芸術

スイス出身のアーティスト、ジュリアン・シャリエールによる個展「conversations with nature 2025」が11月5日から11月9日まで、「アートウィーク東京」の参画企画として、アネックス青山および大倉集古館にて開催される。

© Alice Jacquemin

本展は、シャンパーニュメゾン「ルイナール」が継続的に展開する「conversations with nature」の一環として行われる。1729年にシャンパーニュ地方ランスで創業した世界最古のシャンパーニュメゾンであるルイナールは、「シャルドネの芸術」と称される味わいを追求してきた。本企画は、「自然との対話」というメゾンの理念に共鳴するアーティストとのコラボレーションを通じて、自然観とクラフツマンシップを発信している。

地球温暖化による環境変化は、シャンパーニュ造りにも大きな影響を及ぼしており、ルイナールの醸造チームは、およそ10年にわたりシャルドネのプロファイル変化を観察し、栽培と醸造の両面から気候変動の課題を乗り越えてきた。今回のシャリエールとのコラボレーションは、その理念をさらに発展させたもの。「自分たちが直面している課題について考え、対話をはじめるきっかけをつくりたい」という想いを、アート作品を通して表現する。

ジュリアン・シャリエール © Alice Jacquemin

テーマは「失われた海の記憶」

シャリエールは、「時間×物質×変容」が交差する地点に、近代以降の環境・政治・文化の背景を重ね合わせ、"深い時間"=ディープタイムを掘り起こす作品で知られる。今回、インスピレーション源となったのは、ルイナールの地下クレイエール(白亜質のセラー)。4500万年前、ルテシアン海に覆われていたシャンパーニュ地方の地層に刻まれた"古代の海の記憶"と、現代のサンゴ礁が警鐘を鳴らす海洋の危機を重ね合わせ、「失われた海の記憶」というテーマが生まれた。

作品は、人間の寿命や日常の時間感覚を超えた"地質学的時間"のスケールで、景観や物質が変化してきた歴史を可視化する。クレイエールのチョークの壁に眠る化石のささやきを呼び覚ますかのような体験型のサウンド・インスタレーションをはじめ、世界各地のサンゴ礁を撮影したデジタル画像を色分解し、白亜・石灰岩・サンゴ由来の顔料で再解釈した版画作品で構成される。

大倉集古館

環境課題と向き合うための新たな視点を提示する展覧会となるだろう。

RUINART×Julian Charrière “conversations with nature 2025”

会期:11月5日〜11月9日
会場:大倉集古館(10:00〜18:00)、アネックス青山(10:00〜20:00、最終日のみ18:00まで)
入場料:無料

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