公開日:2026年1月23日

トニー・アウスラーの日本初大規模個展がTOKYO NODEで今夏開催へ。デヴィッド・ボウイとの共作の世界初公開も

マルチメディアアートのパイオニア。サイトスペシフィックな大型の新作も制作中

「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」キーヴィジュアル

「テクノロジーと霊知のはざま」を見つめてきたマルチメディアアートの巨匠

トニー・アウスラーの大規模個展「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」が、東京・虎ノ門ヒルズのTOKYO NODEで開催される。会期は7月3日〜9月27日。

アメリカを代表するメディアアートのパイオニアであるトニー・アウスラー(1957〜)は、映像や彫刻、音、光、言葉を組み合わせた不可思議な没入型インスタレーションで知られる作家だ。映像インスタレーションやプロジェクションマッピングといった立体物に映像を投影する表現を切り開き、イメージと物語、テクノロジーと人間心理、ビリーフシステム(信念)、そして社会の複雑な関係を鋭く問い続けてきた。ポップ・カルチャーから科学、宗教、超常現象、宇宙までを横断するその作品世界は、現代社会における「見えないもの」への欲望と不安を映し出す。

トニー・アウスラー

これまでにニューヨーク近代美術館、ポンピドゥ・センターなど数多くの国際的な美術館で展覧会を開催しており、昨年にアーツ前橋で開催された「ゴースト 見えないものが見えるとき」への出展も記憶に新しい。またマイク・ケリーやキム・ゴードン、コンスタンス・ディヤング 、トニー・コンラッドといった数多くのアーティストやミュージシャンとのコラボレーションでも知られる。

スペキュラー 2021 本展のための展示スケッチ

初期作から代表作、初公開作、サイトスペシフィックな新作まで。半数以上は日本初公開

本展は、そんな世界的アーティストの日本では初となる大規模個展。現代美術家のジム・ショーも参加した初期作品《プライベート》(1994〜97)や、現在進行形のプロジェクトである大小様々な「眼」の玉のインスタレーション《スペキュラー》(2021)、心理学実験に着想を得た《ロック 2、4、6》(2010)といった主要作を通覧するほか、ニューヨーク近代美術館所蔵の長編映像インスタレーション《予測不可能なもの》(2015〜16)は、アウスラーが収集してきた心霊写真、手品の道具、疑似科学、一族の遺品などのコレクションとともに展示。初期から現在までの代表作を網羅的に紹介する。出展作品の半数以上は日本初公開となる。

ロック 2、4、6 2010 展示風景:「Tony Oursler: Black Box」展、高雄市立美術館(台湾)、2021 Courtesy:Tony Oursler Studio
予測不可能なもの 2015-16 展示風景:ニューヨーク近代美術館、2016 Courtesy:Tony Oursler Studio

最大の見どころのひとつが、デヴィッド・ボウイと作曲家グレン・ブランカとともに2000年から共同で制作を開始していた《空(くう)》(2000)の初の作品化および世界初公開だ。

「終わりのない音の構造体」として構想された本作は、モノリスに投影されるボウイによる語りのパフォーマンス映像と、ブランカによる特別な音楽を融合させた作品。アウスラーによる詩的なテキスト、音楽、パフォーマンスを絶え間なく再構成し続け、重層的で変容し続ける体験を生み出す。映像自体は2000年に撮影されたが、 完成した作品として展示されるのは本展が初となる。

《空(くう)》のための習作 2000 デヴィッド・ボウイ、グレン・ブランカとの共作 Courtesy:Tony Oursler Studio

さらにアウスラーは、天井高15mにおよぶTOKYO NODEのドーム型のギャラリースペースを活かし、本展のためのサイトスペシフィックな大型作品《新作 キメラ》(2026)を制作する。作家がこれまでに収集・研究してきた都市伝説とされる生物や未確認生物の資料などをベースに、日本と世界の様々な「キメラ」が出現する作品になるという。

このほか、アウスラーの創造の源泉でもある、科学、魔術、未確認現象などの約3000点に及ぶ収集資料から、厳選されたアーカイヴ資料も展示される。

「皆さんへのちょっとしたサプライズも用意しています」

1970年代に歌舞伎や日本の版画を研究し始めて以来、日本文化に惹きつけられてきたというアウスラーは、本展の開催にあたり、以下のようにコメントを寄せている。

⻑い年月を経て東京に再び戻り、そして友人のレム・コールハース率いるOMAが設計したTOKYO NODEの空間で本展を開催するのはまるで夢のようです。地上200mの天空のギャラリーTOKYO NODEは、文字通り雲の上にある、クリエイティブな体験のための興味深い『インキュベーター(育成装置)』です。本展は、私の幅広い制作活動の中から、とりわけ力強い選りすぐりの作品群を展示します。初期の作品から、近作、未公開の研究資料、そして皆さんへのちょっとしたサプライズも用意しています。

マルチメディアアーティストとして、私は常に日本を、奥深く複雑な歴史とハイテクな実験精神が共存する場所だと捉えてきました。このバランスは、私たちが強力な新しいテクノロジー(人間の本質そのものに問いを投げかける驚くべきツール)を乗りこなそうとしている今日において、特に重要だと感じています。創造性がこれらのテクノロジーを生み出しました。今問われているのは、このテクノロジーがもたらす問題に対処する上でも、我々の創造性が役立つかどうかです。私はその議論において、アートが極めて重要な役割を果たすと信じています。(プレスリリースより)

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