関西の秋の恒例行事「関西文化の日」が、今年も11月に開催される。関西一円の美術館・博物館・資料館などが参加し、入館料(原則として常設展)を無料とする取り組みである。2025年は、11月15日〜16日を中心日として実施。参加施設は各館の都合に合わせて11月中の特定日に無料開放を設定する。京都・大阪・兵庫をはじめ、滋賀、奈良、和歌山など関西広域にわたる数百の文化施設が参加予定で、例年どおり多様なコレクションが市民に開かれることになる。各館の無料開放日や展示情報はこちらからチェック可能。
本記事では、その中から編集部が注目する12館をピックアップ! 各地の美術館や博物館をめぐりながら、関西の文化の現在地を体感してみてはいかがだろうか。
1984年に開館し、びわこ文化公園の中に位置する滋賀県立美術館は、2021年のリニューアルでショップやカフェ、キッズスペースなどを備え、誰もが立ち寄れる開かれた場所へと生まれ変わった。近代日本画や滋賀ゆかりの作家、現代美術、アール・ブリュットなど多彩なコレクションを通じて、地域と表現をつなぐ場となっている。
無料となる展示内容:常設展
企画展:「おさんぽ 展 −空也上人から谷口ジローまで−」
常設展:「滋賀県立美術館 滋賀県立琵琶湖文化館 名品選」
電話:077-543-2111
https://www.shigamuseum.jp/
滋賀県近江八幡市、伝統的建造物群保存地区の町並みに溶け込むように佇む美術館。昭和初期の町家を改装した空間で、障がいのある人たちの造形表現や現代アートなど、多様な表現を分け隔てなく紹介している。
無料となる展示内容:すべての展示
企画展:「アヴァンギャルドですが、なにか」
電話:0748-36-5018
https://no-ma.jp/
近現代の京都の美術を中心に、日本画、洋画、彫刻、工芸、書、版画など約4200点を所蔵する。建築家・青木淳と西澤徹夫によるリノベーションで蘇った歴史的建築が印象的で、7代目小川治兵衛が手がけたとされる日本庭園も見どころである。
無料となる展示内容:コレクションルーム秋期 特集「こどもへのまなざし」
企画展:「薬師川千晴:ノックノック、境界の扉をノックする。」
企画展:「Hello Kitty展 ーわたしが変わるとキティも変わるー」
特別展:「民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美」
電話:075-771-4334
https://kyotocity-kyocera.museum/
京都を中心に、関西・西日本の美術を軸とした収集・研究・展示を行う。陶芸、漆芸、染織などの工芸分野に力を入れており、所蔵品は1万2千点を超える。コレクションギャラリーでは、企画展にあわせて年数回の展示替えを行い、多彩な作品を紹介している。
無料となる展示内容:コレクションギャラリー
コレクション展:「2025年度 第3回コレクション展」
企画展:「キュレトリアル・スタディズ16: 荒木悠 Reorienting ー100年前に海を渡った作家たちとー」
展覧会:「没後50年 堂本印象 自在なる創造」
電話:075-761-4111
http://www.momak.go.jp/
京都市と京都精華大学が運営する、日本初のマンガ総合文化施設。江戸期の戯画や浮世絵から、明治・大正・昭和の雑誌、戦後の貸本、現代の人気作、海外作品まで、約30万点の資料を所蔵し公開している。
無料となる展示内容:特別展示
企画展:「マンガと戦争展2」
企画展:「ハッピーをお届け!田村セツコ展 ~ with松本かつぢ、上田としこ、村上もとか、竹宮惠子~」
電話:075-254-7414
https://www.kyotomm.jp/
国内外の現代美術を中心に作品を展示し、調査研究や教育普及活動を行っている。国内外の動向をとらえながら、現代美術のいまを多角的に紹介している。
無料となる展示内容:コレクション展
特別展:「プラカードのために」
コレクション展:「コレクション2」
電話:06-6447-4680
https://www.nmao.go.jp/
阪神・淡路大震災からの「文化の復興」を掲げ、2002年に開館。前身の近代美術館時代から続く約半世紀の収集活動により、現在は1万点を超える作品を所蔵する。建築は安藤忠雄による設計で、海に面したダイナミックな構造が特徴である。
無料となる展示内容:常設展
コレクション展:「2025コレクション展 Ⅰ ベスト・オブ・ベスト2025」
コレクション展:「中谷ミチコ 影、魚をねかしつける」
企画展:「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s–1970s」
電話:078-262-1011
https://www.artm.pref.hyogo.jp/
2012年に開館。兵庫県西脇市出身の現代美術家・横尾忠則による寄贈・寄託作品を収蔵する。2021年には横尾忠則コレクションギャラリーを新設し、作家の手元に残されていた作品やアーカイブ資料を交えた展示を展開。横尾作品の魅力を軸に、関連するテーマ展やコラボレーション企画を通じてその創作世界を紹介している。
無料となる展示内容:「復活! 横尾忠則の髑髏まつり」
企画展:「復活! 横尾忠則の髑髏まつり」
電話:078-855-5607
https://ytmoca.jp/
美術と歴史の両部門を備える複合施設で、芦屋ゆかりの作家による作品をはじめ、近現代美術、地域の自然や歴史に関する文化財と考古資料を収集・研究している。
無料となる展示内容:特別展
特別展:「山崎隆夫 その行路 ーある画家/広告制作者の独白」
電話:0797-38-5432
https://ashiya-museum.jp/
芦屋ゆかりの美術家を中心に、近現代の作品や芦屋の自然・歴史に関する文化財、考古資料を収集・保存する。戦後日本美術を代表する具体美術協会の作品も所蔵し、地域と現代美術の関係を探る展示を行う。併設の白髪一雄記念館では、足で描く独自の技法「フット・ペインティング」で知られる尼崎出身の画家・白髪一雄の画業を紹介。
無料となる展示内容:すべての展示
企画展:「没後十年 白髪富士子 それは豊かに楽しいもの/ひそかにさびしいもの」
電話:06-6487-0806
https://www.archaic.or.jp/shiraga/
和歌山城の天守閣を望む緑豊かな環境に位置する和歌山県立近代美術館。池や滝を配した敷地には、熊野古道をイメージした散策路が伸び、静かな時間が流れる。1963年に和歌山城内で開館した県立美術館を前身とし、地域とともに歩んできた美術館である。
無料となる展示内容:すべての展示
コレクション展:「MOMAW コレクション 現代の美術」
企画展:「生誕120年 村井正誠展 色のやどり・形のうぶすな」
電話:073-436-8690
https://www.momaw.jp/
「人間」をテーマに掲げ、1990年に文化の森総合公園内に開館。ピカソ、クレー、シャガールなどの近代・現代美術から、ムーアの彫刻、版画、徳島ゆかりの作家の作品まで幅広く展示している。所蔵作品展では「20世紀の人間像」「徳島ゆかりの美術」「現代版画」の3コーナーで、多彩なコレクションを紹介している。
無料となる展示:所蔵作品展2025年度Ⅰ「徳島のたからもの」
記念展:「開館35周年記念展 美術と野獣-人間の根源へ」
電話:088-668-1088
https://art.bunmori.tokushima.jp/